—前作「團 伊玖磨歌曲集」に未収録の歌曲集「マレー乙女の歌へる」(詩:イヴァン・ゴル/訳詞:堀口大學)を、ライブ録音で全編収録。
〈平成14年度文化庁芸術祭参加リサイタル〉
■収録曲
1. 籐
2. あなたの舟
3. 雷さま
4. 髪形
5. 茴香
6. 生まれた時から
7. 百本のレモン
8. 楠の木の下
9. Interlude —Flauto Solo —
10. あなたに知つていただいて
11. 壺
12. あたしは土地
13. 鏡
14. 小川
15. オレンジ
16. 天使の群に
17. 赤胡椒
18. あたしの門
19. 砂
20. ゴム園
21. 脣(くちびる)
22. ヴェール
23. Interlude—Piano Solo—
24. 鸚鵡の群
25. 墓
26. 亜細亜の隅
27. メラタの花
28. 魔法使い
29. どこやらで
30. 白い雲
31. 黒い羽根—終曲—
《各誌レビューより》
「音楽の友」('03年2月号) 小山 晃氏
團伊玖磨の最後の作品になったイヴァン・ゴル詩、堀口大學訳、 歌曲集《マレー乙女の歌へる》の関定子による歌唱が、この1年の間に聴いたこの国の数多い声楽家リサイタルのうちで、ことのほか秀逸だった。
初演、再演は作曲家が当初からその声、表現力を想定した永井和子が歌い、むろん成功を収め、その後歌曲集中の数曲が他の歌い手で任意に歌われたが、全曲を改めて歌唱造型したのは関が2人目である。間にフルート独奏、ピアノ独奏を挟んだ31曲は、一貫した物語性よりも各曲がドラマを堪え、それを克明に精緻にあかしていった関の歌唱は、歌唱の襞がリアルに息づいていた。
第1部の少女から女への心と肉体の推移描写もさることながら、第2部冒頭で詠い上げたエロスの高揚から終曲までの歌唱が圧巻であり、成熟した女、人生の甘酸を識るおんなを写す詩と音楽に肉薄した。その歌唱は、日本の歌曲表現の達人が表現力の粋を尽くした卓絶したものだったといえる。〈“2002 ベストコンサート”より〉