スターリンの恐怖政治による犠牲者は無数である。党幹部に限っても1934年の党大会で選出された党中央委員と同候補の7割が大粛清期に銃殺刑に処されている。レーニン時代からの高級幹部もその例外ではなかった。その恐怖政治を、ヨーロッパ初の女性閣僚となったフェミニズムの先駆者コロンタイと、ソ連の初代教育大臣となったルナチャルスキーがどのように生き抜いたか? 「レーニンの誤りを見抜いた人々」に続いて、鈴木肇がわかりやすく現実にあった〈共産党支配体制〉を照射する一冊。
《推薦の言葉》
■角田安正【つのだ・やすまさ】防衛大学校教授
著者のたゆみない研究が実り、歴史の狭間に埋もれかかった重要な人物、コロンタイとルナチャルスキーが蘇った。スターリンの恐怖政治を生き抜くことができたのはなぜか。ふたりの運命を語る著者の問題意識は明確だ。主人公を温かい筆致で描くこの伝記は、同時に、スターリンの知られざる一面を照射している。著者は説く。「スターリンは単なる暴君ではなかった」と。本当だろうか? 本文を読んでいただければ、すべてが明らかになろう。
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■著者略歴
昭和2年 東京に生まれる。
昭和26年 早稲田大学ロシア文学科を卒業し、産経新聞に入社。
外信部でソ連問題を担当(在社は平成2年まで)。
昭和41〜44年 モスクワ支局長。
昭和56〜62年 ふたたびモスクワ支局長。
昭和63年 論説委員。
平成2〜9年 東京家政学院筑波短期大学教授。
平成6〜9年 同 国際教養科長。
平成9〜14年 平成国際大学法学部教授。退職後、名誉教授。
専 攻:ロシアの思想と文化、特に自由主義と社会主義の歴史
・主な著書
『ソ連共産党』(教育社)
『ソ連反体制知識人』(教育社)
『素顔のモスクワ』(日本教文社)
『ロシア自由主義』(イセブ)
『人物ロシア政治・文化史』(イセブ)
『解禁資料の新レーニン伝』(イセブ)
『人物ロシア革命史』(恵雅堂出版)
『不滅の敗者ミリュコフ』(恵雅堂出版)
『レーニンの誤りを見抜いた人々』(恵雅堂出版)