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橋本國彦歌曲集

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収録曲 全24曲

 

 

—偉才・橋本國彦の歌曲から幅のある24曲を収録。「お菓子と娘」「黴」といった初期の人気歌曲から、詩人・深尾須磨子による「舞」、さらに遺作となった「アカシアの花」まで。44年の短い生涯に、実に多様な楽曲を遺した作者の足跡を辿る一枚。

 

《'99年レコード芸術誌特選盤》


 

■収録曲

 

 1.城ヶ島の雨(北原白秋)

 2.牡丹(北原白秋)

 3.薄いなさけに(北原白秋)

 4.垣の壊れ(北原白秋)

 5.薊の花(北原白秋)

 6.なやましき晩夏の日に(北原白秋)

 7.旅役者(北原白秋)

 8.芭蕉(北原白秋)

 9.百姓唄(北原白秋)

10.富士山見たら(久保田宵二)

11.親芋子芋(浜田広介)

12.あぶくなら(浜田広介)

13.お六娘(林 柳波)

14.田植唄(林 柳波)

15.母の歌(板谷節子)

16.朝はどこから(森まさる)

17.アカシアの花(松阪直美 )

18.幌馬車(西条八十)

19.巴里の雪(西条八十)

20.お菓子と娘(西条八十)

21.笛(西条八十)

22.黴(深尾須磨子)

23.斑猫(深尾須磨子)

24.舞(深尾須磨子)

 

 

《各誌レビューより》

 

「レコード芸術」('99年10月号) 畑中良輔氏

 

山田耕筰に始まり、藤井清水、平井康三郎と、一人の作曲家集成を続けている関定子が、今回、今年で没後50年を迎える橋本國彦の歌曲を24曲まとめた。橋本歌曲は、山田耕筰が創り上げた日本の芸術歌曲の世界を基に、華麗な作曲技法、新鮮な感覚、前衛的なレトリックを駆使して、近代フランス歌曲、近代ドイツ歌曲の音法をいちはやく先取りし、まさに時代の先端を走った作曲家である。私は一貫して作曲を橋本教授に学んだが、まさに博覧強記、あらゆる時代の作品をとり上げ、分析し、それを即座に自身でピアノを演奏し、ボードに譜面を見ることもなく音符を次々に書きつけていくその才能の豊かさ、深さには常に驚かされ続けた。昭和15年のこの時代にして、われわれはハーパ(Haba)の四分音音楽まで譜例を示して教えてくれたものである。また当時、詩壇、演奏界ともに“新民謡運動”がおこり、橋本國彦はまったく新しい視点から俗謡、俚謡に眼を転じて、新しい民謡歌曲の世界をひらいた。山田耕筰の《雨情民謡集》も日本歌曲の宝だが、《お六娘》《田植唄》《百姓唄》など、今聴いても鮮烈な手法を存分に使った名歌である。前衛としての歌曲《黴》《斑猫》はドビュッシーやラヴェルを凌駕しているとさえ言えるもので、これらの手法の集大成は《舞〉は詩人の深尾須磨子が六代目菊五郎の《京鹿子娘道成寺》を見たときの感動を綴った散文詩で、橋本は邦楽のイディオムと前衛手法を見事にここに融合した。昭和初期に荻野綾子がビクターからパリ音楽院管弦楽団(現パリ管の前身)で、コッポラ指揮のもと、名盤を残した。その時は「魅惑の舞」というタイトルで発売されたが、現在、復刻されていないのは残念だ。当時この《舞》は、荻野以外、難曲中の難曲ということで歌う人もいなかったが、近年とり上げられることも多く、抒情歌曲の多い日本のうたのなかでひときわ異彩を放っている。 関定子のこれらの歌は、いずれも並々ならぬ表現の多様さ、日本語へのリアクションの明確さを武器に、他の追随を許さぬ名唱を繰りひろげる。彼女の声域の広さは驚嘆すべき幅を持っており、《黴》などは低めのアルトの曲にもかかわらず、無理のない発声でたっぷりした低音をきかせる。《牡丹》同様、情念の余韻が聴くものの耳に散りかかる。民謡歌曲は彼女ならではの独特の唱法を展開。ただ、ここまで低音が使えるのなら、《城ヶ島の雨》などは、 原調のままで歌ったほうが、白秋の沈んだ気持ちが出たろう。短三度高い調で歌っているので、最初のフルート助奏からして甲高く、華やいで聴こえるのが惜しい。また戦時中のラジオ歌謡《母の歌》などは、もっとさらりと爽やかに歌ってのけてほしかった。情緒がありすぎる。《城ヶ島》をはじめフルート助奏の歌曲が多いが、宗方律のフルートは、曲の内容を知悉したうえで、これらの歌曲を彩った。特筆すべきは塚田佳男のピアノ。1曲1曲、まったく手抜きのない、隙のまったくない演奏に加え、《舞》をこれまでに弾き上げ得るピアニストは他にいないだろう。最後のクライマックスへの加速の凄さは、聴くものの手に汗を握らせるほどである。橋本歌曲にはまだこのほか佳品が多い。第2集の企画をぜひ実現してほしい。

 

「レコード芸術」('99年10月号) 喜多尾冬彦氏

 

関定子の声は美しい。純で澄んでいる。のびのあるアーティキュレーションや、しなやかなイントネーションも、この美しさを最大限に発揮するように工夫されている。強弱の支配も完璧で、しかもこまやかでていねい。どの曲を聴いても水も漏らさぬ緻密さを示し、ゆたかな色合いで歌の世界に引き入れられ、うっとりとさせられる。歌唱力という点で、ここまで到達した例はそうないのではないか。1曲1曲を取り出せば、どれも完全に形が整っている。ピアノ伴奏との呼応もこれまた間然とするところなく、縦糸と横糸が完璧に織り合わされている。これは日本の芸の伝統に根ざした演奏だ。(以下略)

 

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