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郷愁 〜ソプラノによる日本民謡〜

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収録曲 全24曲

 

 

—関定子、衝撃のデビュー作。伴奏は日本歌曲研究・伴奏の第一人者として知られる塚田佳男。本CD収録曲目でのリサイタルで『'91年度文化庁芸術祭賞』を受賞。

 

《'92年レコード芸術誌特選盤》

 

 

■収録曲

 

 1. 大島節(坂本良隆)

 2. 相川おけさ(坂本良隆)

 3. おてもやん(坂本良隆)

 4. 箱根八里(山田耕筰)

 5. 中国地方の子守歌(山田耕筰)

 6. 忍路高島 石井 歓(山田耕筰)

 7. 山中節(山田耕筰)

 8. 貝殻節(山田耕筰)

 9. ずいずいずっころばし(山田耕筰)

10. お月さまいくつ(山田耕筰)

11. 連枷叩きすりゃ(藤井清水)

12. やんせやんせと(藤井清水)

13. 郡上の八幡(藤井清水)

14. ちゅうちゅうけ(藤井清水)

15. さんさ押窓は(藤井清水)

16. 刈干切唄(福島雄次郎)

17. 子守女の唄(福島雄次郎)

18. おざや節(福島雄次郎)

19. 木挽唄(福島雄次郎)

20. 五木の子守唄(福島雄次郎)

21. 南部牛追唄(間宮芳生)

22. こきりこ(間宮芳生)

23. 子守唄(間宮芳生)

24. 杓子売唄(間宮芳生)

 

 

《各誌レビューより》

 

「レコード芸術」('92年11月号) 畑中良輔氏

 

関定子の歌は、この6月、サントリーホールで開かれたイタリアのテノール、ニコラ・マルティヌッチの独唱会で久々に聴いた。プログラムの後半、《アンドレア・シェニエ》終幕の二重唱である。この時の関の声は、新進気鋭、今売り出しのマルティヌッチの声とまさに互角。いささかのひけをもとらず、歌といい、そのマナーといい、プリマの名にふさわしい熱唱だった。

その関定子と「日本民謡集」と、どのように結びつくのか、まるで狐につままれたような気がしたものだが、第1曲の坂本良隆編曲による《大島節》を聴き始め、全く驚かされたことだった。

関の声のフレキシビリティといおうか、その容量の深く豊かなこと。「夜の女王」も難なくこなす彼女の多彩な適応力が、見事な成果をみせている。ここには6人の作曲家による日本民謡へのアプローチが聴けるが、日本民謡というものを、どのように西洋の楽器で処理し、和声づけしていくかに苦闘した山田耕筰や藤井清水の編曲が、今なおその生命力を失わずにいることはすばらしい。ことに藤井清水の独創的な旋律、和声の処理は、“いま”という時代を超えている。《さんさ押窓》など、関の歌ともに絶品。藤井のメリスマティックなフレーズを関は自分の語法として消化し切った。

石井歓の作品も、当時の衝撃性を保ち続けて、古くならない。《お月さまいくつ》などの大胆な発想はまさに卓抜な再創造である。また福島雄次郎の九州民謡は、福島ならではのオリジナリティに溢れ、独唱曲のみならず、《南島歌あそび》一連の合唱曲にも彼の際立った個性が見られ、彼の仕事ぶりに注目してきただけに、関の名唱を得てこれらの歌もよろこんでいることだろう。民謡を解体し再構成し、土の中から思いもかけぬ大輪の花々をひらかせた間宮の独創性も、バルトークに比肩すべきものだろう。

このタイトルは「郷愁」とあるが、むしろうしろむきの感じのあるこの言葉より、このCDは「創造」という前向きの姿勢に貫かれている。われわれの国民遺産としての民謡をなつかしむのでなく、この素朴な旋律旋法から、何が創造されていくかという鮮烈な問いかけとその答えがこの一枚にある。

関定子と、このCD制作にあたり、ピアノともども協力を惜しまなかった塚田佳男の努力と卓見を高く評価しておきたい。この企画・演奏が平成3年度文化庁芸術祭において受賞の栄に輝いたのも、むべなるかなである。 

 

 

「レコード芸術」('92年11月号) 佐々木行綱氏

 

平成3年度の文化庁芸術祭賞を受賞したコンサートと同じ曲目が録音されている。曲目は坂本良隆、山田耕筰、石井歓、藤井清水、福島雄次郎、間宮芳生6人の編曲による日本民謡24曲。これらの作曲家の中では山田が1886年生まれで最も古く、藤井が89年、坂本が98年、他の人達は20世紀に入ってからの生まれで、福島が32年でこの中では最も若い。 関定子は二期会会員で、これまで《魔笛》の夜の女王、《ドン・ジョヴァンニ》のドンナ・アンナなど声質の異なった役をこなしてきた人だけに、広い音域と幅のある声の表現力を身に付けており、北海道から九州にわたる様々な日本民謡を、それぞれの作品に適合した声と技巧で鮮やかに歌い上げている。発声の基調はベル・カントだが、よく日本民謡を研究し、民謡発声を加味しながら、作品とピアノの響きに合った声を生み出しているし、また歌い回しと言葉の扱いにも民謡を知り尽くしたうまさが感じられる。北海道出身者だけに《忍路高島》もよいが、特に《箱根八里》《山中節》《やんせやんせと》《さんさ押窓》などが印象に残る。ユーモラスな《おてもやん》、野趣に溢れた《杓子売唄》など軽妙な曲もよくこなしている。あと望みたいのはゆとりを持って歌えることだろう。ピアノの塚田佳男も歌と一体となって緊張感のある演奏を築いている。海外にも広く紹介したいCD。

 

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